中(なか)づり広告の一番人気は週刊誌だろう。ぎっしり並んだ派手なタイトルだけで、一駅二駅は楽しめる。何割引きかで中身を想像し、なお読みたい買いたいと思わせれば、編集部の勝ちだ。
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日本の週刊誌の草分け、「週刊朝日」と「サンデー毎日」がきょう、そろって卒寿を迎えた。1922(大正11)年の春、毎日新聞が週刊誌を出すと知った朝日は、ひと月ほど前に出した旬刊誌を模様替えし、同じ日にぶつけた。
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以来、あまたの週刊誌が生まれては消えた。黄金期は、出版社系の「新潮」「文春」「現代」などが創刊された昭和30年代。女性誌や写真誌の興亡を経て、出版不況の今は多くが苦戦中と聞く。
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「週刊現代」の名物編集長だった元木昌彦さんが、著書『週刊誌は死なず』で、生き残るための「初心」を記している。「少し品が悪くてやんちゃだが、自分たちが面白いと思ったことには、リスクを考えずに突き進んでいく。
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権力より反権力。強者より弱者。正義より興味」だと。
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大衆の興味に沿い、権力や強者が知られたくない事実をさらす。これぞ真骨頂。ただ、面白さに目がくらむと誤報や名誉毀損(きそん)の危険も増す。訴えられての賠償は「向こう傷」では済まない額に膨らんでいる。 それでも、煙たい週刊誌ジャーナリズムは必要だ。不確かな情報があふれる時代、真実に肉薄するメディアは多様なほどいい。新聞やテレビの監視役もあろう。嫌みな書き方もされるけれど、さらに腕を磨いてほしい。もちろん人権感覚も。
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